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  • 【新築補助金2025】GX志向型で160万円&失敗しないために!

    【新築補助金2025】GX志向型で160万円&失敗しないために!

    新築住宅で補助金160万円!?2025年はGX志向型住宅でお得に!ZEH水準と長期優良、GX志向型を費用比較!プロが補助金の最新情報、意外な落とし穴、住宅会社選びのポイントを徹底解説して理想の住まいづくりから暮らしの実現をサポートします!

    2025年の新築住宅における補助金額と性能の概要

    2025年の新築補助金制度「子育てグリーン住宅支援事業」注文住宅の新築についての補助額は次の表のとおりとなります。

    補助対象住宅1戸あたりの補助額古屋の除却を伴う場合の
    補助加算額
    ZEH水準住宅40万円20万円
    長期優良住宅80万円20万円
    GX志向型住宅160万円なし

    対象要件の詳細 https://kosodate-green.mlit.go.jp/new-house/

    この補助金には、対象となる世帯や住宅の性能、床面積をはじめとして様々な条件があるため上のURLで詳細を確認していただきたいのですが、ここでは戸建の住宅の性能、断熱性能等級と一次エネルギー消費量削減率を記します。

    新築戸建て 寒冷地や多雪等域等を除く一般地

    補助対象住宅断熱性能等級再生可能エネルギーを除く、一次エネルギー消費量削減率再生可能エネルギーを含む、一次エネルギー消費量削減率
    ZEH水準住宅等級5以上20%以上
    長期優良住宅等級5以上20%以上
    GX志向型住宅等級6以上35%以上100%以上

    住宅の断熱性能等級は、1~7の7段階で評価され、数字が大きいほど断熱性能が高くなり、より高い省エネ効果が期待できます。

    日本全国の市町村区を8つの地域に分類し、その地域ごとに断熱性能等級と各等級に応じたUA値が定められています。

    住宅の断熱性能等級とは

    このように住宅の省エネ性についてはZEH水準住宅と長期優良住宅は同条件になっていて、その上の基準にあるのが、GX志向型住宅になっています。

    各補助金対象仕様の概算建築費用の比較

    補助対象住宅と金額がわかったところで、各補助金対象住宅の概算建築費用をみていきましょう。

    比較をするうえで、使用する断熱材や一部の省エネに関する機器以外は次のようなもので考えます。

    ・想定建築地域:地域区分6(東京都の過半の市町村区が地域区分6)

    ・木造総2階建て、延面積109.43㎡(33.10坪)

    ・オール電化住宅(エコキュート JIS効率3.5想定)

    ・屋根材:ガルバリウム鋼板

    ・外壁材:防火サイディング16mm金具止め(メーカー普及グレード想定)

    ・キッチン、システムバス、洗面化粧台 各1台ずつ(メーカー中間グレード想定)

    ・トイレは手洗い付き便器を2台(メーカー普及グレード想定)

    ・内装材:床と建具造作材をメーカー普及グレード、壁と天井はビニールクロス普及グレード

    ・LDKエアコン:性能い区分 他:設置しない

    ・居室、非居室共にLED照明(メーカー普及グレード)

    ・カーテン等(メーカー普及グレード)

    ・太陽光発電別途費用

    ・確認申請、地盤調査、敷地調査費含む

    ・その他の申請費、地盤改良、上下水引き込み、家具、家電、外構工事、その他別途費用

     概算価格(税抜)

    ・ZEH水準住宅の概算建築費用 2,400~2,550万円

    ・長期優良住宅の概算建築費用 2,500~2,650万円

    ・GX志向型住宅の概算建築費用 2,600~2,750万円(+太陽光発電10kW程度で200万円前後)

    ※地域の人件費や狭小地などの立地条件、使用する材料などの様々な条件によりこの概算費用の範囲から外れる場合もあると思われますので、あくまでも概算費用として捉えてください。

    ZEH水準と長期優良は断熱やエネルギー消費量削減率の条件は同じなのですが、長期優良住宅は省エネ性のほかに耐震性や建物の劣化対策などの条件があるため、ZEH水準よりも費用が高額になってきます。

    GX志向型住宅には再エネ設備として太陽光発電がほぼ必須となり、その費用も上乗せになってきますが、買い切りではないリースのサービスもあるので、初期費用が抑えられる(もしくは掛からない)ようにもできるケースもあります。

    意外な落とし穴!?これをしないとせっかくの高性能住宅が…

    補助金対象になるGX志向型やZEH水準、長期優良住宅はその省エネ性能から、住んでからの快適性や光熱費削減の期待があります。

    しかしUA値という断熱性能だけを求め、それ以外の大事なことが考えられていないと、断熱性能を高めれば高めるほど…なんてことになってしまうケースも十分考えられるのです。

    これから挙げることはGX志向型だけでなく、ZEH水準や長期優良にも言えることですので、ぜひ目を通していただければと思います。

     そもそもUA値とは?

    UA値とは、平均外皮熱貫流率のことです。つまり建物の壁や天井(または屋根)、窓、床などの外気に接する面すべての断熱性の平均値で、この数値が小さいほど外気温の影響を受けにくいということになります。

    ここで注目したいのは、平均という意味合いです。

    平均ということは、その数値を紐解くと断熱性が高い部位もあれば低い部位もあります。

    極端な例えを出してみます。

    壁の断熱は内側+外側のダブル断熱で、厚みも合計20㎝あります!というものだとします。これはとても断熱性能が高く、省エネ効果が期待できます。

    https://www.pgm.co.jp/200mm/case01.html

    一方で窓は内外アルミ枠の一枚ガラスだとします。この仕様の窓は極めて外気温の影響を受けやすく、断熱性に乏しい窓と言わざるを得ません。

    このようなダブル断熱という高断熱仕様の壁と、断熱性に乏しい窓の組み合わせだとしても、全体の平均値を求めるとほどほどなUA値に落ち着く場合が多いです。

    これはおそらく実物件では無いような極端な例ですが、全体のバランスが大切ということをお伝えしたいのです。

    このUA値、後述の日射の影響を受ける数値のηAc値とηAh値をもって、どのくらい省エネ効果があるのか、というのが大切です。

     住宅部位ごとの断熱性能とバランス

    同じ室内温度でも、バランスのあまりとれていない断熱性能の部位があると、バランスのいい場合と比べて、室内温度と体感温度に差が出てきます。

    更に、足元と頭でおよそ3℃を超える温度差になると不快感を覚える人が多くなる傾向にあります。また温度差が大きいと不快感だけではなく、自律神経の乱れにもつながる恐れがあるということも言われているため、そうならないようなバランスのいい部位ごとの断熱性能にしなければ、場合によっては快適な室内環境とは言えなくなってくるのではないでしょうか。

    この部位ごとの断熱性能のバランスを取る一つの例として、国土交通省の出している「木造戸建て住宅の仕様基準ガイドブック」を見ると、壁と天井(または屋根)の断熱性能の比が壁1:天井(または屋根)2程度にすることが望ましいということが読み取れます。(地域区分によって比率に違いがあります)

    国土交通省HP:資料ライブラリーより https://www.mlit.go.jp/common/001748733.pdf

    このようなことをきちんと積み重ねていったUA値こそが、その数値で成せる快適性を実現することになっていくのです。

    UA値の優れた住宅を設計する際には、住宅会社ごとに概ねこの比率だったり、或いは近い比率だったりに落ち着いているかとは思いますが、それが偶然そうなったのではなく、きちんと理解・言語化されてそうなっていることが重要だと思います。

     日射との付き合い方の重要性と数値化

    もうひとつUA値にまつわるお話をしたいと思います。

    断熱性能についてお調べの方は、UA値が優れた建物は夏は涼しく冬は暖かい、という認識でいらっしゃる方がほとんどかと思います。これは間違いではありません。

    外気温を室内に伝えにくく、室内の温度も外へ逃がしにくくできるため、夏は涼しく冬は暖かい室内環境を実現しやすくなるのです。

    一方で、以前お話しした【夏は涼しく冬は暖かい!】現役設計士が語る日差しを味方につける賢い設計術でお話ししたことのひとつに、夏の日射を遮ることの重要性がありました。

    このような庇などで夏の日射を遮る工夫をしていないと、それは容赦なく窓から室内へ入り込みます。例え樹脂枠のトリプルガラスという高性能な窓だとしても、庇やシェード、ハニカムスクリーンなどの日射遮蔽部材で遮らなければ、容赦なく室内へ入り込みます。

    そして、UA値が優れている建物は室内の温度を外へ逃がしにくくなります。つまり、太陽の暑い日差しで熱せられた室温が下がりにくいのです。

    そうすると不快感があるので、冷房を強く設定するかと思いますが、当然電気も多く使います。

    こうなってしまうと「せっかく断熱性能のいい家を建てたのに、夏も涼しく過ごせて高熱費も抑えられるんじゃなかったの…?」という結果を招くことも十分に考えられます。

    そんな日射の取得を表す数値として、ηAc値とηAh値があります。

    ηAc値:冷房期の平均日射取得率で、低いほど冷房が効きやすい

    ηAh値:暖房期の平均日射取得率で、高いほど暖房が効きやすい

    GX志向型住宅に限らずZEH水準住宅も、UA値のほかにこの値が同じくらい重要で、これらがおろそかになると前述のように、せっかくの高断熱住宅に不満を感じてしまう可能性があります。

     ηAc値とηAh値が0.1違うと電気代はどのくらい変わる?

    以下の条件で試算してみます。

    木造総2階建て、延面積109.43㎡(33.10坪)

    UA値:0.46W/㎡・K(東京都の過半の市町村が地域区分6・断熱性能等級6)

    オール電化住宅(エコキュート※JIS効率3.5、LDKをルームエアコン、など)

    電気代算出には設計2次エネルギー消費量の消費電力量を参照

    電気量料金は東京電力スマートライフの各プランを参考に1kWhあたり34円で計算

    ηAc値が0.1上がると 26kWh × 34円 = 884円/年UP

    ηAh値が0.1下がると 30kWh × 34円 = 1,020円/年UP

    家族構成、在宅の時間帯などの様々な生活形態によりますが、上のような条件では概算でこのような試算になります。

    これはそれぞれ0.1の差がある場合に年間の電気代に換算したものになりますので、この差が0.2、0.3…となると、2倍、3倍、となっていき、更に住む年数を掛けることで長期的な電気料金の差になっていきます。

    そしておそらく電気料金単価は今後も上がり続けるであろうと考えると、この試算より差が大きくなることも十分考えられます。

    また、あくまでもこれは光熱費の差であり、暖冷房の効きにくさについての不快感は表せていません。

    このため、この長期的に見た場合に発生するであろう電気料金の差(30年で少なくとも十数万円以上として)を住宅への初期投資として、庇やシェード、ハニカムスクリーンなどのような日射遮蔽部材を設置すれば、投資回収+快適度UPを十分見込めると考えます。

    ηAc値、ηAh値はそれぞれどのくらいを目安にすればいいの?

    ηAc値には地域区分ごとに基準があります。

    地域区分1~45678
    基準値設定なし3.02.82.76.7

    (このようになっていますが、個人的にはかなり甘い基準に感じます…)

    一方でηAh値には基準が定められていません。

    これらの目標値ですが、

    ηAc値:1.2以下

    ηAh値:2.0以上

    にできると暖冷房の負担がグッと減ると考えており、これを目指して設計をしたいです。(地域や敷地と周辺状況、建物形状、間取りのご要望などによって難しい場合も多々ありますが…)

    このためには日差しと上手に付き合う設計や、方角に合わせた窓サイズもきちんと考慮・検討することが不可欠になります。

    参考:【夏は涼しく冬は暖かい!】現役設計士が語る日差しを味方につける賢い設計術

    住宅会社選びのポイント

    ここまで読んでくださった方は、断熱性能を表すUA値のほかにも大事なことがあり、それがおろそかになるとせっかくの高断熱住宅が高性能ではなくなってしまう恐れがあると感じてくださったのではないかと思います。

    今回の補助金を利用する際に確認したいことをまとめますので、これが住宅会社選びのポイントとして参考になれば幸いです。

    ①子育てグリーン住宅支援事業の補助対象住宅に対応しているか

    ②ηAc値を下げる工夫とηAh値を上げる工夫をどのようにしているか、その目標数値

    ③住宅の気密性を確保するためにどのような工夫をしているか、その目標数値

    ④窓からの風通しの工夫をどのようにしているか

    これらのことを聞いてみるといいかと思います。

    これらの質問に対して曖昧な表現にしてはぐらかすことなく、きちんとしたやり方や数値などを答えられる住宅会社を検討する候補に加えてみると、家づくりがよりよいものになるかもしれません。

    これはあくまで私見ですがここで判断を急いではいけないと思うのが、

    営業マンがこれを細かく答えられない = 不安だなぁ…

    となることです。ここで設計職や技術職に社内の基準や施工を確認して、後日だとしてもきちんと回答できる会社は、裏方の設計職や技術職の方がしっかりしていると思えます。(曖昧な表現でやり過ごそうとするよりもよほど誠実に思えます)

    ただ、確認したうえでもきちんとした回答がなかったり、曖昧な表現で返ってくるようであれば、建築の候補としては考え直してみることもときには必要かもしれません。

    建築士としての経験上、省エネや快適な暮らしはUA値だけでは実現しないことを理解している会社は、これらの質問をした際にすべてきちんと答えられると思います。

    なぜなら、これらのことは省エネや快適な暮らしの肝になることだからです。

    この記事では触れていない気密についても同じく重要なことになるため、住宅会社選びのポイントとして追加しています。気密の重要性について、個人的に考える目標数値も含めて下のリンクも参考になれば幸いです。

    【気密性の重要性!】断熱と同じくらい重要な気密のメリット・デメリットを現役設計士が解説

    GX志向型住宅について私が感じていること

    補助金を利用するための高断熱住宅?快適な暮らしのための高性能住宅?

    昨今、住宅会社だけでなくお客様も建物の断熱性への関心が高まっていると言われており、私自身も日々の業務で実感しております。

    これまで紹介したように今年2025年は、新たにGX志向型住宅(断熱性能等級6以上)に160万円の補助金が予定されているため、一層の関心の高まりを感じます。

    少し前までは断熱性能等級6以上の建物商品を持っている、施工ができる住宅会社は少ない印象でしたが、この補助金に対応するため様々な会社が建物商品を掲げて「わが社でもGX志向型住宅の補助金を受けられます!」とアピールすることだと思います。

    一方でこの補助金は、UA値や一次エネルギー消費量の削減率の基準は定められていますが、日射との付き合い方に直結する数値や気密性能を示す数値は定めていません。

    つまりこれらをきちんと理解しないままに、補助金を受けるためだけに、その受注を逃がしたくないためだけにUA値のみを追い求めるという住宅会社が増えるのではないかと少々気になっているところです。

    一次エネルギー消費量を削減できているということは、光熱費が抑えやすくなるということになっていくため、「日射との付き合い方を深く考えなくとも、うまいこといくのでは?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。

    たしかに、一次エネルギー消費量の削減=光熱費が抑えやすくなる、ということですが、この削減はグレードの高いエアコンや設備を多く導入することで解決できます。

    しかし、エアコンや給湯器はおよそ10~15年を目安に買い替え時期がきて、その時に同じように高価な設備を入れる必要がある、なんてことになります。

    それにこれでは、そもそも夏の日射熱が入ってくる、それにによるこもった暑さでの不快感の根本解決にはならないと考えます。

    このため、私の経験上UA値はもちろんですが、日射の遮蔽や取得がきちんと考えられ、それが数値化されたものでなければ高性能住宅とは言えないと考えています。

    補助金を利用するために高断熱住宅にするのか。

    快適な暮らしを実現させるために高断熱だけでない高性能住宅を建て、そのために補助金を利用するのか。

    どうかこの補助金を利用する方が長く快適に過ごせる住宅を手にできますよう、この記事がお役に立てれば幸いです。

  • 【夏は涼しく冬は暖かい!】現役設計士が語る日差しを味方につける賢い設計術

    【夏は涼しく冬は暖かい!】現役設計士が語る日差しを味方につける賢い設計術

    夏は涼しく、冬は暖かく

    省エネで快適な住まいを実現するためには、断熱性や気密性が重要になります。そして並行して考えたいのが太陽からの日差し、エネルギーです。そこで今回は、住宅の夏と冬の日差し」というキーワードで、現役設計士が日が当たることでのメリットとデメリット、そして日差しを味方につける賢い設計術をご紹介します。

    目次

    1. 住宅における日差しの重要性
    2. 夏の日差しを遮る方法は?
    3. 冬の日差しを取り込む方法は?
    4. 新築だけではない、建売購入や既存住宅でもできること!
    5. まとめ

    1.住宅における日差しの重要性

    はじめに、「日当たりが良い家がいい」というのは多くの人が抱くイメージですよね。しかし、日当たりが良いことにはメリットだけでなくデメリットも存在します。

    また、夏は日射しが強くて室温が下がりにくい、冬は日射しが弱くて室温が上がりにくい、これは季節ごとに誰もが感じることでしょう。だからこそエアコンなどの冷暖房機器で温度調整をして快適に過ごそうとします。

    日当たりが良いことでのメリットとデメリットをきちんと理解し、日差しをうまくコントロールすることで、夏は涼しく冬は暖かくできたら、快適に過ごせるだけでなく省エネにもつながっていくのです。

    日当たりが良いことのメリット

    窓からの日差し

    室内が明るくなり、心身に良い影響を与える

    十分な太陽の光は心身に良い影響を与え、生活の質を向上させます。太陽の光を浴びることで、セロトニンという神経伝達物質が分泌され、心の安定や睡眠の質の向上に繋がり、またカルシウムの吸収を促進して骨を丈夫にする効果も期待できます。

    冬は暖かく、光熱費の節約に繋がる

    節電、省エネ

    太陽の光は自然の暖房効果をもたらし、特に冬は日差しを取り込むことで室温が上がり、暖房費の節約にも繋がります。

    洗濯物が乾きやすい

    洗濯物室内干し

    日当たりの良い場所では洗濯物が乾きやすく、家事の負担を軽減できます。

    日当たりが良いことのデメリット

    夏は暑くなりやすく、冷房費がかかる

    冷房費

    夏の強い日差しが入ることで室温が上がりやすくなり、冷房費がかかってしまうことがあります。

    家具や床材が日焼けする可能性がある

    長時間直射日光が当たることで家具や床材が日焼けし、変色してしまうことがあります。

    2. 夏の日差しを遮る方法は?

    日差しを遮るために有効な方法は、以下のようなことになります。

    窓の位置と大きさを工夫する。特に東、西、北側の窓は不必要に大きくしない。

    夏の太陽の動き

    https://www.biz-lixil.com/column/business_library/article04_006

    夏の太陽の動きは上の図のようになるため、東と西側の壁や窓には低い角度から日が当たります。

    つまり、庇の効果はなかなか期待できないため、窓が大きいほど夏の暑い日差しが多く入り込み、室内の温度が上がりやすくなってしまうのです。このことから、外付けのブラインドなどが日差しを遮るのに有効ですが、そもそもは東と西側の窓は不必要に大きくしないことが大事になります。

    北側は日が当たりが少ないものの、ほぼ日当たりのない冬と比べると無視はできません。また冬の場合になりますが、ほぼ日当たりが見込めないことから、窓が大きいほど熱が逃げていくことになるため、北側の窓も不必要に大きくしないことが大事と言えます。

    軒や庇を活用する。南側が照らされる時間帯は、太陽高度が高めのため特に有効。

    先程の夏の太陽の動きの図のとおり、南側が照らされる時間帯は太陽高度が高いことが分かります。

    窓の庇

    つまり、屋根の軒を出したり庇を設けたりすることで日差しを有効に遮ることができます。

    また、屋根の軒を出したり庇を設けたりすると窓に直接雨が当たりにくくなり、窓が汚れにくくなる効果も期待できます。

    ハニカムスクリーンやカーテン、ブラインドを使用する。

    窓に設置するカーテンなどはプライバシー保護だけでなく、夏の日差し対策や冬の寒さ対策など重要な役割があります。

    一般的に多く用いられているカーテン以外にも、ハニカムスクリーン(ハチの巣のような六角形の構造をしたスクリーンで、この構造が大きな特徴であり、日よけや断熱効果を補助します)や外付けのブラインドなどが挙げられます。

    特に外付けブラインドなどの室外に設置する日よけ部材は、窓より外側で大幅に日差しを遮ることができるため、大きな日よけ効果があります。

    室内と室外に設置する日よけ部材の日射遮蔽率

    https://www.asahi-kasei.co.jp/asu/learning/article012/index.html

    室内に設置するカーテンなども日よけ効果がありますが、これらは窓より内側にあり、日差しは一度室内に入ってきてしまっているため、室外に設置する日よけの方が効果が高いのです。

    ただし、室外に設置する日よけ部材は、窓が外側に開くタイプの場合は取付けが不向きだったり、金額が高い傾向にあったりするので、ケースにより室内に設置するハニカムスクリーンもおすすめします。

    そして、実は夏の日射量は南側よりも東西側の方が多くなり、かつ太陽の高度が低いので、南側だけでなく東西側からも日差しを遮る工夫が重要になります。

    高さのある樹木を植えると、壁に木陰ができる。落葉樹だと冬の日差しも取り入れやすくなるため、特に◎

    https://www.asahi-kasei.co.jp/asu/learning/article012/index.html

    夏の間、落葉樹は茂った葉を広げ、建物の窓や庭に直接太陽光が当たるのを遮ります。これにより、室温の上昇を抑え、冷房負荷を軽減することができます。

    落葉樹は秋になると葉を落とす樹木です。この特徴により冬には葉が邪魔することなく、低い角度から差し込む太陽光を室内に取り込むことができ、暖房費の節約にもつながります。

    3. 冬の日差しを取り込む方法は?

    日差しを取り込むために有効な方法は、以下のようなことになります。

    敷地の建物の配置を決める際に、隣地や周辺の状況を踏まえて、できる限り南側が広く空くように計画する。

    建物の配置。南側を空ける。東西に長い間取り

    敷地の南側をできる限り広く空けることは、日当たりをよくする上で最も重要になると言っても過言ではありません。

    南側を空けることができると家自体にきちんと日が当たるようになり、家自体の日当たりが確保できるとこれから挙げることが活きてくるのです。

    また、敷地の形状や車の駐車スペースにもよりますが、できる限り南側を空けるために図のように東西に長めの建物形状にすることも有効になります。東西に長い建物の方が、南北に長い建物よりも日差しが当たる面が大きくなるからです。

    南側にLDKや寝室などの主要な部屋を計画する。

    次は主要な部屋(以下、居室)の配置です。南側に居室を配置すると、太陽光を入れての自然暖房効果が得られやすくなるため省エネに繋がります。

    場合によっては駐車場の計画や玄関へのアプローチよりも優先して考えるのことも必要になります。

    例えば、先程の配置図のような場合だと、玄関は南側に設けたほうが道路からや車からの動線が短く済みますが、その分、南側に計画できるLDKの大きさが小さくなってしまうのです。

    そのため、この場合は外の動線が少し長くなるものの、玄関を北側に設けてLDKを最大限南側に広げることを優先する設計としました。

    もちろん物事には限度があるので、生活のしやすさや建物の大きさ、そのほかお客様のご要望など様々なバランスによりますが、場合によってはこのような計画・提案も大事になってくるでしょう。

    南側に大きな窓を設ける。

    このように南側に大きな窓を設けてあげると、居室に暖かな日が差してきます。

    例えば東京都において、横幅1.6m×高さ2.0mの一般的な掃出し窓(面積:3.2㎡、日射熱取得率:0.47)から、きちんと冬の日差し(351Wh/㎡)が入った場合、

    3.2㎡ × 351Wh/㎡ × 0.47=527Wh

    となり、1時間当たり527W(電気ストーブ500W分以上)の熱を無料で自然から得ることができます。

    地域によって日射量のばらつきはありますが、先程の窓サイズからきちんと日差しが入ると、1時間当たりで約300W~690Wの熱を得られることになり、大きな省エネ効果を期待できます。南側の窓の窓サイズや数が増えれば、得られる熱は更に多くなります。

    ここで注意したいことが冬の昼間に南側窓のカーテンやブラインドを閉めてしまうと、せっかくの暖かな日差しが入ってこなくなってしまうということです。

    特に不在のときはカーテンを閉める方が多いかと思いますが、自然の暖房を得るためにも開けたままにしていただきたいです。

    プライバシーが気になる方は、目隠しのフェンスを設けたり植栽を植えたりといった外構の工夫で考えてみるといいかもしれません。

    (敷地の南側を空けることができれば、自ずと人の目線から家の中も遠ざかるというメリットもあります)

    不在のときに防犯用に窓のシャッターを閉める場合などは防犯優先になるかと思いますが、在宅のときはできるだけシャッターを開けておくと、省エネに繋がることを覚えていていただきたいと思います。

    一方で、大きな窓は夏の暑い日差しもたくさん入れてしまうことにもなるため、屋根の軒や庇、日よけ部材などでしっかりと日を遮ることも重要です。

    夏の日差しの角度
    冬の日差しの角度

    夏の日差しを遮るために軒や庇を設けた場合でも冬は太陽高度が夏よりも低いため、日差しを遮ることなく、取り込むことができます。

    4.新築だけではない、既存住宅や建売購入でもできること!

    ここまで新築設計を基本としたお話をしてきましたが、いまお住まいの住宅や、購入を検討している建売住宅にもできることがありますので、ご紹介したいと思います。

    後施工ができる外付けシェードや庇を設置する

    https://www.ykkap.co.jp/consumer/products/exterior/outershade

    これらの外付けシェードや「2. 夏の日差しを遮る方法は?」でご紹介しました庇は、室内に入る前に太陽熱を遮ってくれるため、室内温度の上昇を抑え、冷房負荷を軽減してくれます。また、紫外線もカットしてくれるため、日焼けによる建材や家具の劣化を防いでくれたり、シェードは外からの視線を遮ったりもしてくれます。

    このシェードや庇には家が完成した後も施工ができる商品があるため、新築だけでなく、お住まいの住宅や購入を検討している建売住宅にも使用することができます。

    内窓(インナーサッシ)を設置する

    内窓とは、既存の窓の内側に後から取り付けられる窓のことです。二重窓とも呼ばれ、外窓と内窓の間に空気層ができることで、夏の日射を遮る効果や断熱効果を高めることができます。

    そのほかにも防音効果があったり、窓の結露も抑えることもできます。

    この内窓設置工事については2024年現在、国からの補助金を受けられる場合があるため、検討してみるといいでしょう。

    (予算状況や工事時期、その他条件により交付の可否がありますのでご注意ください)

    先進的間取リノベ2024事業 https://window-renovation2024.env.go.jp

    このほかにも、上の「2. 夏の日差しを遮る方法は?」でご紹介した室内設置のハニカムスクリーンや、庭に植樹するというのも有効です。

    お住まいの住宅や建売住宅は、日差しを取り入れるために南側に居室を配置して大きな窓を設ける、という工夫がされている一方で、相反する夏の日差しを遮るということがあまり考慮されていないケースもあるかと思います。(特に建売住宅に多いように感じます)

    そのようなケースでも工夫することで、日差しと上手な付き合い方ができるのです。

    5.まとめ

    日差しをうまくコントロールすることで、省エネで快適な住環境を実現することができます。

    逆に日差しをうまくコントロールしないと、夏は日差しを遮らないと窓からたくさんの光と熱が入ってきて、電気ヒーターのような暖房を点けながら冷房をするというなんとももったいない状態になってしまうのです。

    また、冬の日差しは無料で手に入る暖かいエネルギーになりますので、活用できればできるほど省エネ効果を期待でき、昼間に取り入れた熱は室内に蓄えられるので、日が落ちてからも省エネ効果が期待できます。

    今回紹介した設計テクニックを参考に、夏は涼しく、冬は暖かく、省エネな住まいを設計してみてはいかがでしょうか。